デジタルプラットフォーム(DPF)の特徴と法規制の視点

デジタルプラットフォーム(DPF)の特徴と法規制の視点

デジタルプラットフォーム(DPF)とは?

 デジタルプラットフォームは、情報通信技術やデータを活用し、利用者を結びつける場を提供するサービス、要するに『オンラインでの「場」の提供サービス』ということになります。
 デジタルプラットフォームが介在する取引の例としては以下のようなものがあります。

  1. オンラインショッピングモール(Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング など)
  2. インターネットオークション(Yahoo!オークション など)
  3. フリマ(メルカリ など)
  4. シェアリングエコノミー(シェアエコ)(例えば、空間シェアエコとして、空き家、駐車場、会議室などのマッチングサービス)

デジタルプラットフォームの特徴

利用者(購入者、販売者)のメリット

  1. 購入者は、多くの店舗や商品を簡単に比較検討することができます
  2. 販売者は、実店舗・自社サイト来訪者以外の多くの顧客への販売が可能になります
  3. コスト(店舗の探索や比較に関する時間的コスト、店舗代などの費用)が削減できます

「スイッチングコスト」による囲い込み

 デジタルプラットフォームには、「スイッチングコスト」があると言われます。
 これは、利用中のデジタルプラットフォームから、他のデジタルプラットフォームへの乗り換えに対する躊躇のことで、例えば、スイッチする手続が面倒とか、ポイントが貯まっているとか、すでに会員としてのグレードが高くなっているなどの事情があるために、他のデジタルプラットフォームには移りにくいという意味になります。
 このスイッチングコストがあるために、あるデジタルプラットフォームの利用者は、そこに囲い込まれ、ずっとそのデジタルプラットフォームを利用し続ける傾向があります。 

「ネットワーク効果」による巨大化

 デジタルプラットフォームには、「ネットワーク効果」が働きやすいという特徴があります。
 「ネットワーク効果」というのは、あるデジタルプラットフォームの利用者の増加が、そのデジタルプラットフォームの価値や利便性をよりいっそう増加させ、そのことによって、そのデジタルプラットフォームの利用者の数がさらに増加していくという特性のことです。
 このような特性があるために、デジタルプラットフォームは、一定の規模まで達することができれば、加速度的に巨大化していく傾向があります。

新規参入が困難であることによる非競争性

 デジタルプラットフォームには、スイッチングコストによる囲い込みや、ネットワーク効果による巨大化という特徴があるため、先行者であるプラットフォームが圧倒的に優位な立場に立ち、新規参入者はなかなか太刀打ちできないことになります。
 その結果、巨大化したデジタルプラットフォームは、他との競争にさらされることもなく大きな力を持ち、公平性を欠いたデジタルプラットフォームに一方的に有利なルール設定や運用などが行われやすくなります。

デジタルプラットフォームを利用する取引に関わる法律

 デジタルプラットフォームを利用して行なわれる取引の基本的な構図は、以下のような三面関係になります。

 


 デジタルプラットフォームに対する法規制は、この三面関係のうち、販売者(出店者)を守るという側面と、購入者(消費者)を保護するという側面の2つがあります。

デジタルプラットフォームに対する法律による規制の「視点」

競争法の視点

 デジタルプラットフォームは、その非競争性ゆえに寡占化が進みやすく、競争法の視点からの規制が必要になります。
①独占禁止法
 例えば、令和3年12月6日付けの公正取引委員会の発表では、楽天が、「共通の送料込みライン」に参加していない店舗を不利にする取扱いを示唆するなどして参加を余儀なくさせたことを、優越的地位の濫用にあたる疑いがあるとされ、楽天による改善措置が実施されました
②DPF取引透明化法(正式名称は「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」)

情報保護の視点

①個人情報保護法
②電気通信事業法

消費者保護の視点

①取引DPF法(DPF消費者保護法)(正式名称は「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」)
②その他の消費者保護に関する法律